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赤い靴の盆栽のレビュー・感想・評価

赤い靴(1948年製作の映画)
4.1
鬼が傑作を生み、
傑作は悲しみを生む


幻想的なバレエ映画の名作。戦後のイギリス映画は文化的な芸術性が強く、本作もその一本。バレリーナのヴィクトリア・ペイジは『赤い靴』のヒットをきっかけに一躍大スターとなる。興行主の虜になった彼女は私生活をも犠牲にし、いつしか悲劇的な結末へと向かってしまう。

20分間のダンスシーンは圧巻。狂言的と言われればそうかもしれないが、映画の中に本軸のストーリーから一切逸れることのない幻想的なこのシーンは立派なパフォーマンス。モイラ・シアラーが履く赤い靴の煌びやかさを筆頭に、彼女の存在感に目が惚れてしまいます。

舞台上のセットが豪華なのは当然のこと、それ以外の日常シーンでのセットもオスカーを受賞しているだけあってとても美しい。個人的に思うイギリス映画の特色はやはりこれ!セットからも官能的な美しさを発しています。

総括して本作は悲しい物語。ですがただの「悲しい」だけでは終わらせない、華麗なクラシックさに包まれた斬新で輝かしい作品。
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