りえあおき

サインのりえあおきのレビュー・感想・評価

サイン(2002年製作の映画)
3.4
大好き。繰り返し観る。
ハリウッド映画×不条理劇 的な展開なので、SF大作やスカッとする着地、謎解きを求める人には食い足りなさがあるかもしれないけど

室内の、宗教画のような光と影の使い方。左右対称の構図など撮影がとにかく美しい。(撮影監督は 羊たちの沈黙 や フェリスはある朝〜 のタク・フジモト )ドアの模様から何から部屋の中は十字架モチーフだらけ。

ストーリー展開もサスペンス/ホラー的になったり 脱力するコミカルなシーンがあったり、崇高な瞬間があったり。ひとつのジャンルにまとめていない 絶妙なバランス。人生ってそういうものでしょ的な。この塩梅もユニークで好き。

ヒッチコックの鳥、スピルバーグの激突やジョーズ、ブニュエルの不条理劇や、ベルイマンが良くテーマにする神の不在など、どれでも構わないけど、それらの延長線にある"不条理"の中心に"メル・ギブソン"がいる、という稀有な映画。

某インフルエンサーによる …水が弱点なんてとほほ な展開。などを筆頭に 冷たい意見を持たれがちでもあるが

宗教、バイブル、がテーマなので、現代人が思う"ただの水"とは違うはず。映画エクソシスト での扱いがそうであるように

水とは聖水。清め、邪悪なものから守ったり、また洗礼で使うものだと言う事。
アイデンティティ(宗教や自尊心)を失った男がアイデンティティを取り戻す話。

映画で?な設定が出てきたら、ばかにしたりする前に 何を表現しようとしているのか立ち止まって考えたり。必要なら調べる事で 制作者の意図にチューニングしやすくなる。感覚や印象は大事だけど、知らない分野には 謙虚さを持ちたい。

…それが映画やそのほかのカルチャーやアートの楽しみ方の基本じゃないかなと信じてます。って、何の話これ笑…