半兵衛

ブロンドの殺人者の半兵衛のレビュー・感想・評価

ブロンドの殺人者(1943年製作の映画)
3.5
事件に巻き込まれ警察に追われる探偵、事件の裏にいる悪女、裏で暗躍する悪党などこれぞクラシックなフィルム・ノワールと呼べる一作。そんなベタなドラマではあるけど、主人公が過去を思い出そうとするときカメラが外の夜の町にパンして回想の夜につながるなど工夫された演出やテンポの良い演出、夜の町を妖しくとらえた陰影の効いたカメラにより軽快に楽しむことが出来た。

ハードボイルドの代名詞とも言えるフィリップ・マーロウを本作ではディック・パウエルが演じている、決して屈強ではないしどこか愛嬌のある軽やかさは最初ミスキャストに感じるが、次第に事件に巻き込まれ散々な目に遭う探偵キャラにぴったりに思えてくるように。そういえば原作者はこのマーロウを高く評価していたらしいけど、原作者がイメージしてたのはこんな三枚目キャラだったのか。

出てくる登場人物が無駄に個性の強い奴らばかりで、なかでもマーロウが事件に巻き込まれるきっかけを作ったヘラー(大鹿)は見た目といい普段は鈍そうな感じなのにキレると思いっきり暴れる狂暴性といいかなりのインパクトを放つ。ちなみに悪党に雇われているときバイオレンスのスイッチが入ると恐ろしいくらい暴れるので「こいつ怖いよ」と言わんばかりに悪党側がドン引きしているのが笑える。

ラストのやりとりが小粋、とんでもない目にあっているのにこんなことをしているマーロウは凄い余裕があるのか馬鹿なのか判断に困るけれど。
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