えそじま

罪の天使たちのえそじまのレビュー・感想・評価

罪の天使たち(1943年製作の映画)
4.0
誠実さ、純真さが自己ではなく他者へ向けられた時、それは傲慢になる。休戦協定間もない占領下で、劇作家ジロドゥの尽力もあって紆余曲折の果てに無事完成&公開されたというブレッソン待望の長編処女作。撮影はアゴスティーニ、音楽はグリューネンヴァルド。混沌沈まぬ黎明期に各方面の天才達が集まり、美しい家具を組み立てる職人さながらに愛情をこめて作られたという。いわゆるブレッソンらしさが散漫したやや探り探りな作風、この表象的な宗教ドラマ(演劇)の世界はドライヤーやベルイマンの土俵でありそこは揺るがないなとも思ったが、最後の手錠をかけるあの瞬間、あのフランス映画全盛期時代の走りを予見させる素晴らしい一瞬を求めておそらく納得のゆくまで何度も撮り直し、デビュー作にしてはやくも"辿り着いた"のだろうなと思う。何よりルネ・フォールのそれこそ天使のように純度の高い目の輝きがただ可愛いに尽きる。あの地面にへばり付く究極の土下座みたいな謎礼法はなんなのほんと可愛い
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