hoshiko

きょうのできごと a day on the planetのhoshikoのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

公開当時映画館で観た作品。
あの頃私は20代前半で、今は無き横浜駅西口の地下にあったヨコハマ・シネマ・ソサエティに通ってはアイデン&ティティやヴァイヴレーター、ジョゼと虎と魚たちなんかを観てた。
その時、何度となくこの映画の予告編を目にして、気になって観に行ったのだった。

描かれているのは、大阪の大学生たちの何でもないただの一日。
友達とお酒を飲んだり、女の子同士で盛り上がったり、ちょっと好みの異性にテンション上がったり、恋人とデートして喧嘩したり。
そこにTVの向こうのきょうのできごととして流れていたビルに挟まれた元同級生や、浜に打ち上げられた鯨のニュースなんかが実は繋がっていたりして。

そこに描かれていた若者たちが当時の自分とダブって見えて、(劇中の伊藤歩演じるけいとのファッションとか憧れてシルバーのリングとか網タイツとか真似したなあ)「なんかうまく言われへんけど」惹かれてDVDまで買って。
でもなかなか見返すことがないまま今日ふと観たくなって十何年ぶりに見返してみた。

20代当時の自分だからあんなに刺さったのかな、とか思っていたけど、思い出補正とか抜きにしてもやっぱり大好きな映画だった。
夜中の12時過ぎたら明日なんだけど、やっぱり朝が来て初めて明日が来た気がするんだよ。
長い長い夜が明けて朝が来るあの感じ。
すっかり朝になった海へと向かう道で、女子高生と中沢たちを乗せた車がすれ違うあのいちばん好きなシーン。
主題歌のメロディに乗せて浮かび上がる宴の後。朝の光が差す畳の間。
鯨のいない浜辺で思い思いに佇む新しい一日の始まり。

大人になった今でも、いや、大人になった今だからこそ、より一層切なくなるのかも知れない。
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