この『ブタのヒヅメ』には『オトナ帝国』『戦国大合戦』に向かっていく片鱗みたいなものをすごく感じる。
なのでクレしん映画で3番目に好き。
冒頭からカメラ位置の設定が凝っていて構図がかっこいい。
そして、この頃のクレしん映画は本当にアクションシーンの出来がいい。
シンプルなキャラデザのおかげで大胆に動かしている。
カット割りがかなり上手く、観ていて気持ちいい。
ストーリーはエンタメとして悪くない。
そこからのぶりぶりざえもんのラストで一気に持っていかれる。
「違うよ。ぶりぶりざえもんは救いのヒーローなんだよ」というしんのすけならではのシンプルだがハッとさせられるセリフ。
『オトナ帝国』の「ずるいぞ!」に匹敵する。
静かに流れるしんのすけの涙にジーンとなった。
爆発の中に落ちていくぶりぶりざえもん(しかもセリフなし)にまたしてもジーン。
一個だけ気になるのは、エンディング最後の「おわり」のところ。
青空を見つめるしんのすけの後ろ姿なんだけど、あの雲の形がぶりぶりざえもんであって欲しかった。
クレしん映画の方向性を決めたのはこの作品のような気がしてならない。
名作。