半兵衛

ニーベルンゲン/ジークフリートの半兵衛のレビュー・感想・評価

4.0
主人公の乗る白馬、巨大な龍、お姫様、英雄らしくあらゆる土地で並外れた武力と知恵で活躍する主人公の王子…。現代まで続いているファンタジードラマのベーシックが既に完成していることに驚かされる。そしてなんと言っても荘厳で巨大なセットといかにも中世らしいファッションが叙事詩としての映画を大いに盛り上げる。

結婚したくない姫を婚約者の王子のところに向かわせるため主人公のジークフリートが知恵を使って解決して王子の妹の姫をゲットする展開は日本の昔話に通じるものを感じる、あとジークフリートの勇壮だがそれゆえに周りから突出しすぎて粛正されてしまう悲劇なキャラは日本人が大好きなヤマトタケルや源義経といった悲しい英雄と似ていて共感しやすかった。

新たに収録された音楽がいかにも荘厳でファンタジーの本作にぴったり、あと刀を作る場面で金属音を入れるなど細やかな音の演出も嬉しい限り。

巨大な怪物というよりステゴザウルスみたいな穏和な草食恐竜のような劇中の龍にちょっと落胆する(実際リアルタイムで鑑賞したお客さんから可愛い龍に失笑が起きたとか)が、龍が本物のトカゲのようにのそのそ動き水を飲んだりする動きがリアルなので圧巻。あとちゃんと火も噴きます。

ジークフリートが最期を遂げるラストはテンプレだけど、フリッツ・ラングのパワフルな語り口によって最後までドキドキして鑑賞できる。
半兵衛

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