ポンコツ娘萌え萌え同盟

ニーベルンゲン/ジークフリートのポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

4.1
『ニーベルンゲンの歌』に触れたことなかったので完全初見。
フリッツ・ラングも叙事詩的な作品作るんだとは思いつつも、暴論だが叙事詩だって実質サスペンス。本作は第一部でジークフリートを主人公に描いてる。

ドイツ叙事詩の血として流れてそうな作品だが、それにラングの作るドイツ的な美術の血が注がれる。
ジークフリートに竜血が注がれるように。
それが本作の見事な映像の構図・演出それとビジュアルの部分に強く溢れ出ている。
それに加えて二人の王と女王の対比から重厚な雰囲気がその美術にうまい具合に絡まっている。
流石ドイツに捧ぐ覚悟は伊達じゃない。

とはいえそこだけでなく道中ファンタジー的な部分だって見どころだ。
ジークフリートvsドラゴンとかだって。ラングの『死滅の谷』でも中国パートで特撮使っていたように、本作だって特撮を交えているし、やはりフリッツ・ラングは娯楽作家だと思う。
本作も娯楽映画として観ても十分面白い。

ただジークフリートの結末を見ながらアキレウスの物語を少し思い出したのだが、やはりいくら不死身になっても一方で完全な不死身になれないあたり神でも化身でもなければ、いくら強くても彼もまた人間だなあと思う。