キッチー

夏の嵐のキッチーのレビュー・感想・評価

夏の嵐(1954年製作の映画)
3.6
ネオリアリズモの旗手ルキノ・ヴィスコンティ作品鑑賞。初鑑賞なのにあまり有名じゃない作品を選んでしまいました。イタリア独立戦争中のメロドラマ。

イタリアの伯爵夫人リヴィア(アリダ・ヴァリ)と敵のオーストリア将校フランツ中尉の恋愛を描く。そもそも敵同士の男女が恋に落ちるというところで少し強引な展開なのですが、ところどころで結末に繋がるような伏線が見え隠れしてしまう、二人にも感情移入出来ませんでした。特に中尉の態度とかかな. . . 感情移入出来なかったのは、二人が好きなタイプではなかったのも原因かもですが. . . (笑)

物語は出会いから。恋に落ちたリヴィアの目線で進行していきますが、彼女の視点なので、彼女が自分の都合の良いように勘違いしたり. . .まさに、恋は盲目状態ですね。しかし、中尉の方は現実的で打算的で. . .

ラストはなんと言ったらいいのか. . .えっ、こういう話だったの?ってちょっと拍子抜け。イタリア人は、これでスッキリ出来るのかな。男も女もダメ人間の典型のような感じで、映画のジャンルがロマンスになってましたが、どこが?って思ってしまいました。

あと、伯爵夫人リヴィアが、街中をドレス姿でウロウロしているシーンがあるのですが、雨で濡れた地面に接するほどのドレスで裾が気になって仕方なかったです(笑)

ヴィスコンティの作品にはデカダンス(頽廃美)という特徴があるらしいのですが、イマイチ良く解らない。今作も富も美も持っている伯爵夫人が堕ちていくというところに感じるものがあるのかもしれませんが、自分でもドレスの裾が気になっているようでは、理解するのはまだまだ遠い先になるのかな〜なんて思ってしまいました。
キッチー

キッチー