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呪われたジェシカの海のレビュー・感想・評価

呪われたジェシカ(1971年製作の映画)
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これは夢?それとも悪夢?狂気か正気か、もう私にはわからない・・・ジェシカのそんな語りで始まり終わる本作の原題は「ジェシカを死ぬほど怖がらせよう」、おそろしさ、あたらしさ、おもしろさ、どれに固執したホラー作品でも、大抵の場合なんとなく可笑しさにつながっていってしまう。それがなぜかと言えば、怖いものとして受け取ったものでも理解することによって分解されて、違う気持ちに処理されてしまうからだろう。死に様って不恰好なものだし、お化けって暇を持て余してる挙句意地悪だし、血まみれだってただの祭りになりかねなかったりする。霊柩車、LOVEの文字、墓石の写し絵、コントラバスの音色、ささやき声をかき消すような煩い音楽、濃い霧のせいで今日の天気も分からず、少女はまるで老婆のようで・・・混乱する。これらは日常だ。たとえば、精神を病んで半年間入院していたジェシカの旦那が、自家用として霊柩車に乗っているのは、安価という単純な理由からだ。日常のはずだ。でも、それがわたしを立ち止まらせ、躓かせ、混乱させた。ジェシカという特定個人を怖がらせるための映画に、観客を怖がらせようという魂胆を見透かすのは難しい。この全部に違和感しかないんです。ジェシカの病の設定から、このグラグラした世界観を生み出したのなら、とんでもない神さまだ。人間の悪意って悪魔だ、果てしない。夢と悪夢の境目がわからないのは結果わたしの方でした。ホラーって変態だね。
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