Miver2

我が人生最悪の時のMiver2のレビュー・感想・評価

我が人生最悪の時(1994年製作の映画)
5.0
永瀬正敏の格好良さを存分に堪能出来たし、脇を固める俳優陣の演技と存在感を楽しみながら、古き良き日本映画の良心を受け継ぎながら描く、抗争劇を軸にした物語がとても面白かった。

濱マイクの熱さがたまらなく良かったし、そこから感じられる人情や友情が滲む所に物凄くグッと来る物があったりして。
時に容赦なく現実を突き付けられたり中で魅せる濱マイクの姿やその立ち振る舞いに釘付けにならずにはいられない物があった。

濱マイクに絡む年長者の酷さを観ていて、それはある種の問いを投げかけられているように感じたし、それは濱マイクにも物語の軸になる抗争劇の狭間で揺れる兄弟にも投げかけられているように感じられる、ある種の二重構造での描き具合と言えば良いのかな、それがとても観応えあって素晴らしかった。

そして途中から登場する塚本晋也監督の存在感が最高だった。
狂気がギラついてるあの表情と演技と存在感最高だったし、永瀬正敏と塚本晋也監督が共演してるその場面を映画館で観れて、とても嬉しく思った。

乱闘シーンで魅せる面白さを存分に楽しんでる中でドラムソロのみだと思われる劇伴がまた素晴らしかったし、乱闘シーンでのスリリングで目が離せないあの緊張感はたまらない物があった。

個人的に暴力描写がなかなか強烈だったんだけど、その強烈さがなんか正しく突き刺さって来るあの感じがとても良かったりもして。
暴力を暴力としてちゃんと描かれているように感じられたのはある種当たり前なのかもしれないけど、痛みを感じられるのは大事だしね。

あと物語の中で描かれて行く抗争劇は古き良き日本映画の面白さを引き継ぎながらの面白さがそこにはあったと感じたし、とてもスリリングで強烈な描き具合が圧巻で最高だったな。

登場人物達の姿や立ち振る舞い、その生き様と背景がとても丁寧に描かれていたし、観て感じてた事が後にしっかりと繋がって行く事でどんどん深い所へと持って行かれてる感じがあったし、スリリングさと緊張感と静寂が良い塩梅で物語を紡ぎながら描かれていたのがとにかく素晴らしかった。

そして濱マイクをはじめとする登場人物達のその人柄や立ち振る舞いから感じられるそのいびつさが、とても魅力的に感じられる面白い映画だった。

出演者の皆さんが若いのは言うまでもないけど、それぞれの存在感をしっかりと楽しめたし、ある種お手本にもなる良い歳の取り方してる人達が勢揃いしてる映画だったな。

とてもカッコ良くて、ある種ギラついている狂気に満ち溢れている所もありながら、人情や熱さが滲む洗練された素晴らしい映画で最高でした。
続編の2作品もいつかスクリーンで観たい所です。
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