トムヤムくん

陽のあたる場所のトムヤムくんのレビュー・感想・評価

陽のあたる場所(1951年製作の映画)
4.2
貧しい家庭に育った青年ジョージは、祖父の工場で働くアリスと恋仲の関係になるも、次第に高嶺の花と諦めていた名家の令嬢アンジェラの方に心が惹かれていく…。

アメリカの自然主義派の作家セオドア・ドライサー が1925年に発表した小説『アメリカの悲劇』を、ジョージ・スティーヴンスが映画化。1906年に実際に起きた“妊娠した恋人を湖で溺死させた事件”を基にしている。

貧富の差を生む資本主義社会、そしてアメリカンドリームへの批判とその悪影響をテーマにした作品。チャップリンは本作を「アメリカについて、これまでに作られた最高の映画」 と太鼓判を押したことでも知られる。第24回アカデミー賞では作品賞こそ『巴里のアメリカ人』に奪われたものの、監督賞を含む最多6部門を受賞した。

完璧主義者であるジョージ・スティーヴンスの計算され尽くされた構図には惚れ惚れするし、三角関係による複雑な心の葛藤を表現するモンゴメリー・クリスト、そして当時17歳ながら類まれない美貌を放つエリザベス・テイラー、もはやこの二人が映るだけでずっと面白い。

またアリス役のシェリー・ウィンタースも十分に美人なのに、相手を奪われて追い込まれていく役が似合う似合う。いやあ、恋愛映画としても、サスペンス映画としても見応えたっぷりだったなあ。圧巻!