またまた小津のサイレント映画
仕事をサボって酒ばかり飲んでいる喜八とその息子、会社の同僚の次郎、そして喜八が惚れた春江という女性を軸に長屋に住む人々をコミカルに描く。
『男はつらいよ』の原型のようなものを感じました。喜八の粋が良く、春江に対して好きとは言わず、簪なんかを買ってあげたりする。
しかし、次郎はそれを見て許せなくなってくる。
さらに息子は字が読めず工場をサボる父親を同級生たちに馬鹿にされ、喜八のことを嫌ってしまう。
内容はとても良いのですが『東京の合唱コーラス』に比べると面白さは少なくなっているように感じました。
それは字幕が多いのです。セリフが多くなってしまったせいで説明的になり、サイレント映画の一番の魅力である映像的な面白さが薄まってしまったと感じました。
ただ、それでも喜八のことを嫌って父親を叩く息子とのやり取りは素晴らしい演出だと思います。
さあ、これからはサイレント時代の小津映画かはトーキーの小津作品を観ていきたいと思います。