great兄やん

最高殊勲夫人のgreat兄やんのレビュー・感想・評価

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)
5.0
【一言で言うと】
「徒花同士の“恋結び”」

[あらすじ]
三原家の兄弟と野々宮家の姉妹は、それぞれ三原商事の部長と秘書として、長男と長女、次男と次女が結婚していた。彼らの下には三郎と杏子がいる。長女は残るこの二人を結婚させ、トリプル結婚を狙う。しかし三郎と杏子は周囲が勝手に進める結婚話の腹を立て、お互いに結婚しない事を誓ったが...。

超絶大傑作!!!恐ろしく良いテンポに加え魅力的なキャラクター達の喧騒にただただあっという間のひと時だった。
高度経済成長期真っ只中に作られた今作なのでかなり浮世離れしているし陽気なテンション真っ盛りなのだが、それ故観ていてド直球に突き刺さるあの”多幸感“というのがマジで快感。本当に観ていて顔が緩んでくる。

にしても結婚に対するマインドが今と全く真逆なのがすっごく新鮮だし、好きだと思えば一直線にアプローチをする豪胆さには思わず驚きと共に笑ってしまいましたね🤣...

とにかく純粋に面白いし、なんと言っても主演の若尾文子の魅力がもう爆発しまくっとる!!!
家族の思い通りにさせない為に嘘の恋人作って虚勢を張る姿は最高にカワイイし、何よりも服にビールを零してまで飲むあの豪快さに胸を射抜かれてしまった…いやはや、昭和に生きる女性の“気品”には敵いませんな😌...

それに素早いカメラロールと相まって起こるテンポの良い会話劇も痛快で時間を忘れますし、昔の邦画特有の言葉回しが好きな自分にとってはもう一言一句の台詞に感動すら覚えてしまった笑
早口で捲し立てるマシンガントークの軽やかさ、それに誰一人として魅力を欠いてないキャラクター、全てにおける要素が活き活きとスクリーンで暴れ回っており、それを95分という短さで作り上げた増村保造監督の才能に俺は惚れた!!心底惚れたぜ!!!😤

とにかくまたあのキャラ達に会いたいと思わせる、魅力も愛嬌も溢れまくった最高の一本でした!!!

今となっては時代錯誤と言われちゃそれまでなんですが、この当時でしか出せない空気感や雰囲気は今現在では大変貴重ですし、良くも悪くも“緩み”きったあのご時世だからこそできる作品なんだと思っている。

ただレンタルやサブスクにも未だ現れてないこの傑作のDVDを買う価値は充分にありますし、ラストシーンはいつか自分が“花婿”になる時がきたら絶対に真似しようと思う。それくらい最高の瞬間だった。

多分一年も経たない内にもう一回観てるんじゃないだろうか(^◇^;)...“希望”が少ない今の時代だからこそ観て欲しい一本でもありますね〜...