Omizu

落ちた偶像のOmizuのレビュー・感想・評価

落ちた偶像(1948年製作の映画)
4.0
【第9回ヴェネツィア映画祭 脚本賞】
『第三の男』キャロル・リード監督のサスペンス映画。原作者グレアム・グリーンが自ら脚色している。ヴェネツィア映画祭で脚本賞に輝いたほか、英国アカデミー賞で英国作品賞も受賞している。

面白かった。さすがキャロル・リード。物語、演出と隙のない緊張感があるサスペンスだった。

無垢な子供の言動によって大人たちが右往左往していく。あらぬ疑いを向けられる大人たちも可哀想だが、どんどん信じてもらえなくなる子供も可哀想だった。

真相は最初から明らかではあるものの、少年の見た光景、当人が見た光景、警察が見た光景がそれぞれ異なる。それによってサスペンスが生じるというつくりがまず非常に上手い。そしてそれら複数の視点を分離せずに描ききったのも流石。

素直に面白いサスペンス。キャロル・リードの演出、グレアム・グリーンの脚色、役者の演技と全てに隙がない完璧な作品といっていいだろう。
Omizu

Omizu