半兵衛

艦隊を追っての半兵衛のレビュー・感想・評価

艦隊を追って(1936年製作の映画)
3.3
水兵さんが休暇中に好きな女性との恋と歌を謳歌するというアメリカ映画にありがちなパターンの作品(これが元祖か?)、ただ息のあったアステアとロジャース主演のためか男女は既にコンビを組んでいたもののある事情で離れていたという関係になっているのが新味。

いくらミュージカル映画は歌とダンスがメインとはいえお話は結構滅茶苦茶、主役二人のカップルはなんの説明もなくよりを取り戻しもう一つのカップルも女性が教師という身分を隠して付き合うという設定が途中から無視されてそのままエンディングになるのが納得がいかない。あとその女性が金持ち設定でもないのに遺産で大型船を相続するっていうのも不自然。

それでもアステアとロジャースによるダンスと歌が素晴らしすぎてそうした欠点を吹き飛ばしてしまうのが流石、アステアのステップは神業の域に達していて目を見張るがそれ以上にヒールを履いて軽快にタップするロジャースも凄い。演技面でも結婚を拒否されて自分の決断を否定されたような気分になっている男と、プロポーズはまだ時期尚早と考えているだけで男が好きなことには変わらない女による微妙な綾を表現しているのが見事である。

ランドルフ・スコット、ルシル・ポール、べティ・グレイブルと豪華な顔ぶれが出演しているのも見所。特に女性陣はいずれもスタイルが良いので眼福。

ラストはお決まりのパターンとはいえ、女性より任務を優先するあたり当時の戦争に突入しようとする微妙な空気を感じ取れる。歌にもチラッと「この先…」と触れている部分があり、ドイツやら日本の不穏な行動が影になりアメリカを覆っていることがわかる。
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