改名した三島こねこ

ストライキの改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

ストライキ(1925年製作の映画)
3.5
<概説>

映画史に名を刻んだ天才エイゼンシュテインの初長編作。労働者と資本家の衝突を現代にあっても圧倒されるスケールで描く。

<感想>

定期的に民衆運動は話題になりますが、ここまでそれを真に迫らせた映画作品というのはなかなかないのではないでしょうか。2020年のコロナ禍にあっては『コンテイジョン』的なリアル志向作品。

キャラクター性の掴める登場人物はいない上に娯楽性は皆無。ただそれが結果的に労働者階級の激憤と無念を演出しています。

誰にも肩入れしないというのは、理不尽に対してフェアに怒ることができるということなんですね。
赤子を蹴り飛ばす父親に怒り、母親を殴打する官憲に怒り、労働者の死体の山に怒り。当時の労働者がどんな心境で郡列を成したかこれほどわかりやすいものもない。

ただ社会主義は中央政権が聖人でもなければ破綻すると考えているので、こんな負の感情を動力源に傑作と讃えるのもなんだかなあと思ったり。歴史的資料としておもしろいくらいに留めておくのがよさそう。