ちろる

修道女のちろるのレビュー・感想・評価

修道女(1966年製作の映画)
4.0
ヌーヴェル・ヴァーグの中心人物であったジャック・リヴェットがアンナ・カリーナを主役に迎えた本作。

美しすぎる故に数々の悩みが降り注ぐ。
一体全体このシュザンヌはどうすれば良かったのだというのだろうか?
ロマン・ポランスキーの「テス」の人生を優に超える悲惨さで、美しきアンナ・カレリーナがとことん虐められまくられて、幽霊のように蒼白い顔を見せる前半も辛いけど、
実は同性愛の嫉妬が見え隠れしてた、異様なキラキラ女子会のような堕落した修道院もなんという居心地の悪さ。

お前の存在が、後悔そのものだと言い放った鬼畜母親(カツラ浮いてるのが気になりすぎる! )の胸糞悪さも忘れるほどに、シュザンヌの苦難が負の連鎖のように降り注ぐ。
ネグレクト、拷問、監禁、同性愛

18世紀フランスの哲学者、ドゥニ・ディドロが実際にいた修道女をモデルに書いた小説が元になっているこちらの作品。よくもここまで恐ろしき修道院のいじめや腐敗をよくもまぁあからさまに描けたなーという点は感心するばかりだが(一度上演禁止となっている)、
この作品の見所はやはり主役のアンナ・カリーナの圧倒的な美貌である。
小悪魔みたいなメイクでキラキラした服を着てスクリーンを動き回る彼女もいいが、薄化粧で地味な修道服だからこそ引き立つこの作品においての彼女の美しさは、18世紀のクラシカルな修道院を背景にすれば尚更美しい。
この映画に登場する修道役の女優たちも皆普通ではありえないほどみな美人すぎるが、それでもアンナの輝きは群を抜いている。
原作がどんなものか、読んでいないのでわからないけれど、この作品においては主人公シュザンヌの美貌と高潔さ、そして強さが大切だったのだから彼女を起用した事は正解だったと思う。
救いのない、残酷な話ではあるけれど、突然終わり方はある意味納得のいく。

いくつかの胸糞描写もありますが、荘厳な美術と、アンナのさまざまな表情を見せてくれるミューズの演技は必見の作品です。
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