中島晋作

小林一茶の中島晋作のレビュー・感想・評価

小林一茶(1941年製作の映画)
3.5
yidff2019「 「現実の創造的劇化」:戦時期日本ドキュメンタリー再考」
小林一茶の句と長野県の庶民をモンタージュする。軽井沢の観光映画と見せかけて、印象づけられるのは農民の過酷な生活。まったく観光映画としての機能がない(むしろ逆効果)ため、文部省のお怒りを買い、めでたく「文化映画」認定ならず。亀井文夫、かっこいーじゃん。
老人の顔のクロースアップなど。

【併映】
アルベルト・カヴァルカンティ『石炭の顔』(1935)
イギリス映画。作曲家ベンジャミン・ブリテンによる音楽、詩人W・H・オーデンの詩の朗読が合わさる。やっぱり機械運動と炭鉱夫のモンタージュ。既存の撮影フッテージを二次利用したらしい。

ハリー・ワット、バジル・ライト『夜行郵便』(1936)
ロンドン、グラスゴーを往復する夜行列車。驀進する列車から地上のネットに郵便袋を落下させる仕組みが面白すぎる。やはりW・H・オーデンの詩の朗読があるのだが、ほとんどラップみたいだったぞ!傑作。

京極高映『石の村』(1940)
栃木県城山村、大谷石の採掘現場。発煙筒が照明代わりになっているからか、ほとんどドイツ表現主義の美術のような「舞台」に驚く。採掘現場なのにピアノが鳴るのが面白い。

三木茂『土に生きる』(1941)
秋田県にある農村。盆踊り、民謡など。あの見世物小屋、何やってたかすごく気になるんだが。
柳田國男のもと、1年ほどの時間をかけて作られた本作は約60分だったが、現存するのは9分のみ。
中島晋作

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