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きけ、わだつみの声 Last Friendsのmhのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

現在の間に過去をはさんだサンドイッチ式の戦争青春群像劇。
六大学ラグビーというくらいしか共通点がないのに、突然、五十年前のまぼろしをフィールド上に見つけ、タイプスリップしてしまうというとんでも展開なんだけど、その設定自体は当時話題だった舞台「ウィンズオブゴッド」からいただいたのかもしれないね。
(映画版「ウィンズオブゴッド」と同じ年に公開になってるけど、そちらは二年前にお蔵入りしたものを松竹が合わせて公開したものとのこと)
ラスト、タイムスリップから戻ってくるので余韻がめちゃくちゃになってしまうんだけど、それ以外は攻めた内容になってて大変面白い。
・膨大な犠牲者のわりに映画化が少ないフィリピン山中の地獄を描いている数少ない作品。(ほかは「野火」と「大日本帝国」「日の果て」「北緯15°のデュオ」くらいじゃない?)
・徴兵忌避者の山狩りを含む逃亡劇。
・関東軍から転戦してきた極悪小隊。
・零戦を二機、本当に飛ばしている。
・従軍慰安婦問題を扱う勇気。
名作とされてる1950年の原作映画化の呪縛から解き放たれすぎてるのが地味にすごい。
のちの日本映画界をしょって立つことになる若手、織田裕二、風間トオル、的場浩司、仲村トオル、緒形直人がそれぞれ際立つ存在感なのも素晴らしい。
対戦車地雷をラグビーになぞらえるのとか単純だけどいいアイデア。
この映画がやろうとしていることの理想形は、岡本喜八の「英霊たちの応援歌 最後の早慶戦」で間違いないと思うんだけど、それよりもヒットさせたんだから大したものだと思う。
いま現在流行っている「ハッピーエンドルートは夢まぼろしで処理」を当時やってたのもすごいよね。笑顔の織田裕二がはまりすぎてた。
ぜんぜん期待しなかったからその反動で身を乗り出したけど、冷静に考えてやっぱりそんなでもないんだろう。
でも、面白かった!
mh

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