滝和也

激しい季節の滝和也のレビュー・感想・評価

激しい季節(1959年製作の映画)
3.6
戦時下に燃え上がる
許されぬ愛、
その官能的な調に
美しき貴婦人は…

「激しい季節」

伊・仏合作の古典的名作メロドラマであり、戦時下のなさぬ恋を官能的なカメラとシチュエーションで描いています。

イタリアの避暑地リッチォーネで裕福な青年カルロは戦争未亡人となったロベルタと出会い、やがて二人は恋に落ちていく…。だが時は1943年ムッソリーニが辞任し、混迷を深める第二次世界大戦中。やがて暗い影を二人に落としていく…。

ストレート過ぎる程の愛と戦争の暗い影を対比させた作品です。年上の未亡人に絶世の美女エレオノラ・ロッシ・ドラーゴ。その深き瞳に魅了される青年に後のイタリアの至宝、若きジャン・ルイ・トランティニャン。空虚な夫婦生活だった未亡人がその夫の死から、若い青年の熱い眼差しにより、開放され愛を知る月夜の邸宅のダンスシーンが音楽と共に印象深いですね。(ビング・クロスビーのテンプテーションが使用されています)勿論この時代の作成ですから、ストレートな表現はなく、切ないくらいの眼差しの交換からのキスシーンですが。

全てを投げ打とうとする二人に戦争は暗い影を落とします。出会いのシーンも海辺の海水浴場での戦闘機の飛来がもたらすのですが、ラストも列車への激し過ぎる爆撃シーンからの顛末となります。この時代ゆえの激しい爆破シーンから、二人の立ち位置が見え、ラストに向かいます。その顛末は説得力のあるものでした…(T_T)

因みに…ジャケットのシーンは本編には存在していません。カットされた幻のシーンとして収録されています。現代ではこのシーンがあった方がより理解しやすく、説得力もあるのでしょうね。

余りメロドラマは得意ではないのですが、先駆的な作品として、かなり昔のベスト映画に紹介されていたため、見てみましたが、戦争と愛と言う普遍的なテーマをよりモラル的に困難なシチュエーションで描いた作品で往年の名作に間違いありませんでした(^^)
滝和也

滝和也