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墓石と決闘のHKのレビュー・感想・評価

墓石と決闘(1967年製作の映画)
4.0
良くも悪くも典型的な娯楽活劇だった『OK牧場の決斗』のジョン・スタージェス監督が10年後に同じ事件を史実に沿って再映画化した作品。続編とは違います。
本作では『OK牧場~』でクライマックスだった決闘を映画の冒頭にもって来るという思い切った構成で、ワイアット・アープら4人が並んで決闘に向かうシーンから映画はスタート。
音楽も前作とは打って変わってジェリー・ゴールドスミスの地味ながら渋い楽曲。

決闘は史実通りに死者3人と負傷者3人を出して映画の序盤であっという間に終わります。
死者は当時19歳のクラントン一家の末息子ビリー・クラントンとマクローリー兄弟で他は逃走。アープ側は負傷者だけでワイアット本人のみ全くの無傷。
『OK牧場~』では敵が全滅してハッピーエンドでしたが、本作ではここからアープ兄弟とクラントン一家の生き残りとの血を血で洗う仁義なき抗争が始まります。

クラントン側は殺された仲間の復讐にワイアットの兄バージルと弟モーガンを次々に襲撃。ワイアットとドクはさらにその復讐のために逃げた敵を一人ずつ追い詰めていきます。
両陣営のそもそもの対立は実は勧善懲悪とはほど遠い利権争いや政治的対立であり、今回初めてワイアットが正義のヒーローとしてだけでなく執念の復讐者として描かれます。

本作でようやく史実通り二人とも髭のワイアットとドクのコンビが実現しました。
今回のワイアット役は『大脱走』でもスタージェス監督と組んだジェームズ・ガーナー。
結核病みが似合う渋いドク・ホリデイをジェイソン・ロバーズ(『砂漠の流れ者』)。
クラントン一家の長兄アイク・クラントンもドク同様史実より年上で貫禄のロバート・ライアン(『ワイルド・バンチ』)。
クラントン側のカーリー・ビル役は若い頃のジョン・ヴォイト(『真夜中のカーボーイ』)。

本作の原題は“Hour of the Gun”(銃の時間、決闘の時?)
邦題の墓石というのは舞台となった町の名トゥームストーンのことだと思われますが、原題に地名は入っていないのにナゼ?

本作は他のOKコラルを扱った作品の中でもキャストがとにかく渋く、また『大脱走』と同じく女性がほとんど登場しないのも特徴です。
撮影はペキンパー作品でもお馴染みのルシアン・バラード。

ちなみにガーナーは後の『キャデラック・カウボーイ』でもワイアット役を演じていますが、ブレイク・エドワーズ監督で共演がブルース・ウィリスやマルコム・マクダウウェルという未見ですがとても気になる作品。残念ながら未ディスク化でVHSのみのようです。
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