わせ

銀座化粧のわせのレビュー・感想・評価

銀座化粧(1951年製作の映画)
3.5
決してうまくいくことばかりではなくて、でも不幸せかと言われるとそうでもなくて、そんな普遍的な日々を送る 女給であり母親である一人の女を田中絹子が好演。働いている間、子供の面倒を見ている間、気になるひとと接している間、彼女はいつも違った顔をみせる。女の多面性はいつの時代だって魅惑的に映る。なんとなく容量が悪くて不器用そうな田中絹代のすがたが愛らしい。忘れかけていた胸の高鳴りと微かな希望を妹に奪われてしまった終盤の展開は、誰も悪くないからこそ残酷で、その煌めいたひとときを諦めてまた銀座の中に溶けてゆく、刹那に輝くうつくしさにやられてしまった。
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