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旅立ちの時のxoのレビュー・感想・評価

旅立ちの時(1988年製作の映画)
3.5
マル激で神保哲生氏が推薦していたため鑑賞。良い話だったなあってしみじみ思う鑑賞後感。
指名手配中の両親と息子二人というややトリッキーな設定ながら、主題にあるものや表現される感情は普遍的なもの。個人の感情と集団の論理との衝突。

設定上いつか破滅が訪れることを覚悟しながら見ることになるため、ずっとハラハラさせられる緊張感がある。
常に他人の前では自分を偽って、個性を出さず生きることを強いられる状況。それに思い悩むというよりは最初から全てを諦めているような、悟ったようなリヴァーの繊細な演技に引き込まれる。

主人公が想いを寄せる彼女に真実を告げる場面は、比類のない美しさ。打算も何もなく、ただ誠実でありたかったから心のまま振る舞ったっていう。人間の尊さが溢れている、素晴らしい場面だと思う。

後半にいくにつれ通俗的なヒューマンドラマになっていき、わかりやすい感動がある。
脚本はあまりうまいとは思えなかった。現実的な事態の複雑さを描くことを避け、父親ひとりに悪役を押し付けすぎ。オチには唐突感。お前が言うなっていう。。
主人公が家族に執着する理由もあまり描かれておらず腑に落ちない。正常性バイアスってことでもないのだろうし。。
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