レインウォッチャー

エイリアンVSヴァネッサ・パラディのレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

2.5
■RWと48の地獄㊺ あと3本!
奪われた体の一部を取り戻すため、RWは大晦日までに48の魔物を倒さねばならない!奴等は地獄映画の中に潜んでいる…

□戦績
……なんでちょっとおもしろいんだよ!

タイトルから明らかな火薬のにおいに釣られてみれば、それは邦題の罠。
確かに、ジョニー・デップの元事実嫁こと世紀のフレンチロリータ、ヴァネッサ・パラディはメインではあるもののあくまでもヒロインポジで、原題をよく見れば『ジェームズの帰還』となっている。そう、エイリアンとVSするのは基本的にジェームズさん(よく知らない人)なのだ。

今さらこんな誇大広告にやられるとは悔しい限りだけれど、

ポンコツ映画を期待して手に取ったら
→思ってたのとは違ったのがわかって
→でもやっぱりそこそこポンコツだった

という行きつ戻りつを体験できる稀有な作品でもあったと思う。揺さぶり効果によって、一周回ってちょっと好きだ。ちょろいな、わたし。

事実、意外と良いところもあって、エイリアンの奇妙な造形は『メッセージ』のヘプタポッドの先取りかと思えるほど(過言)だし、奴らが繰り出すゴア描写はかなり頑張っている。それに、大塚芳忠はケツから憑依されて変身!するし、ふんだんに盛り込まれたヴァネッサの歌唱シーンはどれも素敵で魅力を失っていない。

ただしこればっかりはどうしようもないのは、「ぜんぶバラバラ」ってことなのだ。
主人公カップルのラブストーリーと、父親との確執と、エイリアンの襲来と、悪徳プロデューサーの登場と…みたいな幾つかのストーリーの要素がまったく関係も理由もないまま散らばっている。最後は投げっぱなしのような終わり方だけれど、ある意味正しい(だって出口を作り忘れてるんだもの)ともいえるだろう。で、純度の高い地獄映画の常として、これが狙ってるのか天然なのかわからない。

ひとつ良かったと思うのは、この作品が地下に埋もれていることである。
もし今作が、ジョニー・デップとアンバー・ハードの裁判に証拠物件として提出されて、「被告の影響で当時の恋人はこんな作品に出るくらいファッキン正気を失っていました」とか言われてたら、ジョニデの逆転勝訴はなかったかもしれない。

というわけで、いま干されてヒマしているであろうアンバーさんへ全在庫をソリに乗せて送ってあげるのが、今作にとって最も有用な道だと思う。あ、一箱はイーロン・マスクにも転送でよろね。


□倒しかた
上にも書いたけれど、音楽が良い。さすがレニー・クラヴィッツもメロメロにした女。
Little Rabbitsというフランスのバンドが手掛けたオリジナル楽曲で、時にキューバ風、時にサイケとバリエ豊かだ。ヴァネッサさん当時31さい、しかし未だに華と幼さが同居する妖気を放っている。


□分類
ビーマイベイビー地獄


□取り戻したパーツ
ビグスビー


□次回予告
決戦!●の●!
>>To Be Continued...