ナツミオ

刑事マディガンのナツミオのレビュー・感想・評価

刑事マディガン(1967年製作の映画)
3.8
NHK-BSPプレミアムシネマ録画鑑賞

B級作品の巨匠ドン・シーゲル監督が本作でメジャーとなり、その後『ダーティー・ハリー』(1971年)で有名監督になる記念碑的な刑事アクション・サスペンス作品。

1968年米作品
監督 ドン・シーゲル
原作 リチャード・ドハティ『The Commissioner』(総監)
脚本 エイブラハム・ポロンスキー ヘンリー・シムーン
出演 リチャード・ウィドマーク ヘンリー・フォンダ ハリー・ガーディノ インガー・スティーブンス ジェームズ・ホイットモア
撮影 ラッセル・メティ

ニューヨーク市警23分署の敏腕刑事マディガン(ウィドマーク)とロッコ(ガーディノ)の2人は、他分署からの調査依頼でギャングのベネシュの聞き込みに向かう。ホテルで女と一緒にいたベネシュに話を聞く間も無く、マディガンとロッコの拳銃を奪われ逃げられてしまう!
ラッセル警視総監(フォンダ)から72時間以内に解決するよう厳命されたマディガンとロッコの必死の捜査が始まる。

マディガンに不満を持つ美人妻ジュリア(スティーブンス)との関係や、ラッセル総監の心配事 親友のケイン本部長(ホイットモア)の汚職疑惑 上流階級夫人との不倫で別れを告げられたりと並行して描かれる。(原作名から、総監も主人公か⁈)

拳銃を奪われた刑事が必死に捜査する所は、黒澤明監督『野良犬』
(1949年)とも似通っている。

シーゲル監督の乾いたタッチとウィドマークの強面がマッチしてテンポよく進む。
ラストの銃撃戦は衝撃的だが、このマディガンのキャラはそのままTVシリーズに受け継がれたのは本作の人気の現れ。

主役のマディガンがクラブの歌手と旧知で、彼女から誘惑されるが、妻を愛していると断るが、疲労がピークでそこに泊まっていくところや、妻からは薄給なのに、警部になる気がないと不満をぶち巻かれるが高級ホテルの常連の描写は、何故⁇
って疑問もある。
劇中では、「賄賂を取らない刑事」と本部長から総監へ説明描写があるので、美人妻にお金がかかっている⁇

オープニングのニューヨークのビル群をローアングルから撮ったのは、ラッセル・メティ。
『スパルタカス』(1960年キューブリック監督)でアカデミー賞撮影賞受賞のベテラン職人。
スパルタカス撮影時、メティと監督との仲が最悪で主演・製作のカーク・ダグラスにしょっちゅう愚痴をこぼしていたエピソードもある。

主役のウィドマークは、強面から悪役出身の俳優さん。
(以下Wikipediaより)
癖の強い風貌としゃがれ声でギャングや戦争映画の冷徹な指揮官役が多かったが、その後悪役からの脱却を図り(娘が学校でいじめられない様に、と言われている)両方を演じられる貴重な性格俳優として地位を確立した。

個人的に、リー・マービンと並んで悪役出身の好きな俳優。

本作、シーゲル節炸裂の硬派な刑事ドラマでした‼️
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