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刑事マディガンのcatmanのレビュー・感想・評価

刑事マディガン(1967年製作の映画)
3.9
ドン・シーゲル監督作として期待値をMAXまで上げてしまった為、いささか物足りない印象。登場人物はそれぞれの立場や日常にトラブルや悩みを抱えている、と言うのは他でも良く見られる構図なんだけど、それが作品全体に深みを与える効果を果たし切れていない。むしろ視点が散漫になってしまい刑事アクションとしてのキレと緊張感に欠ける。やはりこの監督に感傷的な演出は似合わない。相棒のハリー・ガーディノが最後に救急車の中で見せる表情は凄く良かったんだけど、犯人追跡にもっと焦点を当てていたら、このシーンに更に深みが出たはず。

痴話喧嘩や不倫なんかを半端に挿入するよりも、徹底的にマディガンと犯人の、そして警察組織との対立にフォーカスしていたらクライムアクションの傑作になっていたのではないか... と思ったら、それこそがドン・シーゲルが後に製作するダーティハリーだった。ハリーが奥さんと死別していたのはこの作品とは対照的。この「刑事マディガン」と翌年の「マンハッタン無宿」を経て、「ダーティハリー」が誕生するかと思うと、シーゲルとイーストウッドのファンにとっては見過ごせない作品である事には違いない
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