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私の殺した男のvodkaのレビュー・感想・評価

私の殺した男(1932年製作の映画)
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主人公の嘘を共有する映画。可愛い嘘は多々あっても、美しい嘘というのは耐え難く残酷で苦い。保身の影さえなく。罪を打ち明けるべきか、誰に、如何なる嘘をつくか、あるいは隠し続けることができるか…そこで良心が問われる。

罪の告白、真実の探求を救いの前提条件としているキリスト教社会を思えばこそ、戦争という集団犯罪から誰も救われずに生き続けることを要請する、この苦々しくも妥当な倫理観はさすがルビッチ。

余談。映画の文脈から逸れるが、個人的に、嘘に気づいていないフリができる強さを持ちたいと思った。
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