晴れない空の降らない雨

SOSタイタニック/忘れえぬ夜の晴れない空の降らない雨のレビュー・感想・評価

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 タイタニック沈没事故の再現ドラマ。劇伴はほとんどなく、終始淡々と進む。低予算というわけではなく、セットは安っぽくないし、特撮の出来もよい。一応、左舷でボートへの誘導を受け持ったライトラーが主人公だが、他の人物も満遍なく取り上げている。なんでこれを観たかというと、コニー・ウィリスの傑作『航路』を読み返して、ニワカにタイタニック熱が上がったため。
 色んな人がいたんだなぁ……としみじみ思う。最期を共にすることを選んだストラウス夫妻がいる一方で、ちゃっかり生き残って社会から非難されたイズメイ社長も登場する。自分だったらあの状況であえて船に残れるだろうか。映画では描かれなかったが、愛犬を乗せてもらえず死を選んだ貴婦人も多くいたとか。キャメロン版も結構参考にしているようである。
 ちなみに史実では沈む少し前に船体がばっきり折れたのだが、当時まだそのことは知られていなかったので本作のタイタニックは普通に沈む。