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ゴールデンスランバーのLEGIONのレビュー・感想・評価

ゴールデンスランバー(2009年製作の映画)
3.7
野党初となる首相の凱旋パレードが行われている仙台で、ラジコンヘリ爆弾を使った首相暗殺事件が起き、犯人に仕立て上げられた青柳の逃亡を描いた物語。ただひたすら主人公が謎の組織に追われるだけの物語だが、過去で描かれる大学時代での4人の友人との思い出と現代で過去の思い出を生かした展開が映画をとても感慨深くしていた。物語の展開も逃走系のジャンルにしては予想がしにくく後味の良い結末に取り払えないモヤモヤ感があるため、喜びと悲しみの感情を同時に味わうことができる。謎の組織についてや総理大臣暗殺の理由など細かい点から大きい点まで述べられない物語ではあるが、すべての事象に道理を求めない構成に統一しているからか違和感が感じられず、この作品の国民と同じく物事の本質をずらされたことに気づかなかったことに驚きを抱いた。
「事象Aを遂行するために事象Bで対象者の注意を引く。事象Bに集中してる間に事象Aを成し遂げる」というミスディレクションがこの映画の一つのテーマでもあると思う。逃走の仕方や起きる事件など様々な盤面で用いられていて表現の仕方がとても上手いように感じた。ストーリー構成は大きくC→A→B→Cに分けられ、場面の入れ替えで場面Cの見方が大きく変化した。同じ人物でも変化した心情もあって全く別の場面に感じた。その変化から生まれた感動もあってか映画として楽しむことができた。
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