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マダガスカルのLCのレビュー・感想・評価

マダガスカル(2005年製作の映画)
3.6
楽しかった。

印象に残るキャラクターの多さがすごい。そして賢い猿の王が見せる歌と踊りも中毒性が高い。思考を止めて見入れる。

各動物たちのデフォルメが独特で、よく特徴を捉えていながら、野生の中で気付く姿というものに現実的な恐怖を抱かずに済む、そんな塩梅で面白い。
私は特にライオンが好きなので、動物園の人気者である彼のひとつひとつの動きや外見的特徴を楽しんだ。そりゃもう満喫した。
上手だなあと思ったのは、街中ではサラサラとして見えるタテガミが、自然世界の中でボサボサとしていく描写。これは幾つかの視点で見ることができるように思える。
まず、人の管理下を離れて野生環境に適応していってるという表現。
次に、気持ちの落ち込み、内面の混乱といったものの表現。
更に、タテガミがボサボサしている、というか、質感が固そう(ふわふわではない感じ)だと、そのライオンは成熟していると考えられる、という説がある。つまり、都会育ちの軟弱な若者から、逞しい野生の者としての成長と見ることもできるかもしれない。
ちなみに、ライオンは猫科の動物の中では比較的穏やかな性質を持つし、社会性もあるので、本作で「今まで育んできた友情」を選択するのは結構納得しやすかったりする。賢さはたぶん、お喋りでピンチを切り抜けようとする、口達者なところに反映されたのかなと思う。
しかしながら、私が本作のライオンさんに最も悶えたのは、四肢のバランスである。ちゃんと後ろ足が前足より細くなっておる。夜の動物園でおやすみなさいしてる時のたくましい前足とちまっとした後ろ足ったらたまらん。

賢い猿の王も大変好きだけど、ペンギンたちもなかなか心をとらえて離さない。
一応猿の王は民主的な体裁らしいのだけど、ペンギンたちは軍のそれ。上位下達。1羽の頭脳による結論が絶対。彼が「人をビンタするべし」と言ったら、人は何度でもビンタされるしかないのである。交渉するとなったらその緊張感はきっと、猿のみんなより彼らに対峙した時の方が強くなる気がする。
というか、動物たちみんな本当に印象に残るんだ。たくさんそういう動物が出てくるんだ。その中で強く存在感を放つおばあちゃんは何者なの。ライオンに手提げ鞄で一撃くらわせる系オールドレディ。

笑えるところは笑えて、音楽にノレるところはノレて、仲良し同士の喧嘩も落ち込む姿も、深刻になることなく心配せずに見られる。気を楽にして寛いで見ることのできる作品。
クレジット画面最後の星々は頭クラクラした。たぶん気のせいだけど。
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