【物足りないかな】
うーん、何か物足りない感じが残る映画だった。しかし何が物足りないのかというと、表現するのが難しい。
多分、出てくる人間が「いい人」ばっかりだからじゃないかな。この「いい人」とは、「性格がいい」という意味だけではなく、主人公にとって「都合がいい」という意味も入っている。
若くて性欲ムラムラの主人公を受けとめてくれる内田有紀をはじめ、彼を取り囲む女たちは彼とちゃんとセックスしてくれたり、或いは母親や姉や内田有紀の母親(古手川祐子、久しぶりで、誰か分からなかった)みたいに主人公を見放さないで最後まで付き合ってくれる。うーむ、私もこんな青春時代を送りたかったな、と思ってしまう。
男だってそうだ。父親も、親友も、料理屋のオヤジも、みな主人公の味方。主人公を首にする会社の上司だって、あの状況じゃ当たり前でしょう。自主退職という形にしてくれたのはお情けで、懲戒免職にならなかったのが不思議なくらい。
でもねえ、言い方は悪いかも知れないけど、地方の三流大学を出て、勉学意欲にも乏しく、あげくのはてにアルコール依存症になってしまう若い男は、もっとシビアに扱われて然るべきじゃないか・・・って気がするんだけどねえ。そう思うのは私がトシをとってきたせいかなあ。
だいたい、主人公は救われるけど、彼を一時期心から愛した女教師(白石美帆)は救われたのか? 彼に思いを寄せていた料理屋の娘はどうするのだ? 宗教にハマったかつての同級生(中村ゆり、相変わらずキレイですね)は死んじゃったし。
というようなことを考えてみると、どうも私には主人公の甘ったれぶりと、最後には救われてしまうご都合主義ぶりが鼻につく映画だ、としか言えないのである。