ちいさな泥棒

小犬をつれた貴婦人のちいさな泥棒のレビュー・感想・評価

小犬をつれた貴婦人(1959年製作の映画)
3.0
休暇にきていた妻子持ちの男と子犬を連れた既婚者の貴婦人が旅先でいい雰囲気になり関係を持つという不倫ものではあるんだけど、ただの不倫ものではない。美しくもなく儚くもなく尊くもなく羨ましくもなんともない。不倫ものでここまで幼稚なお花畑の2人を見せられる作品もそうそうないかもしれない。その幼稚の程度もすごいんだよな。「そこ??!!!」レベルです。

もう10年くらい前に買ったDVDかな?何本か観ないまま棚に入れっぱなしだったのでクラシック期の今ちょっと観てみようかなと思って観てみました。

それまでノリノリだった男はやることをやったら冷めまくっていて、一方押されまくって悩んだ末に身体を委ねた女はどうしよう、愛してしまったと慌てふためく。まずここの温度差が時代は違えど永遠に変わらないのだなと思わされるんだけどそこから男の家庭のターンへ。

そこで男はあの瞬間はすばらしいものだったんだと気づかされて恋にわずらっていき「恋って何かな🥺??」って手当たり次第にまわりに聞いていく。しまいには誰も相手にしてくれないから馬車の運転手にまで聞いちゃう始末。

今回も思ったけれど電話も携帯もない時代直接行かないと会えなかったわけで、今それをしちゃうといくら関係を持って思い合ってる「恋心」が介在していたとしてもストーカーになるわけだよね。ここの線引きって今逆に難しいよなぁなんて思いながら観てて。だって引いちゃうくらいがっつりストーカーしだすんだもん。 でもそれに対しての女も痛いからプラマイゼロなんだけど。

再会してからがまた痛い。幼稚な2人がずっと「この先どうする?」「どうしたらいいんだろ?」「こういうときどうすればいいんだろ?」って押し問答を繰り返すだけ。「ごめんなさい、こんな時、どんな顔したらいいのかわからないの」の状態の綾波レイが2人。それを観てる私もどんな顔していいかわからないの状態で3人目の綾波レイ。

脱線しましたが、2人は始まりの終わりにも立っていなくて、始まりの始まりが始まったばかりで、経験がないから慌てふためく様子で終わってゆく……終わってみたらふざけんななんだけど、まぁ大人になるとわかるけどさ〜って事情や、だけど許せないよな〜って気持ちや、結局ここまでの時間なんだったんだよ〜な気持ちでいっぱいになりました。

とにかく見終わったあとはなんでか知らないけれど思いがけずどっしり重たかったです。90分なのに半日のHPごっそり持ってかれました。ふざけたことしか書いてないですけど、なんか、なんか重かったです。あ、犬はかわいいけどこの時代なのでかわいい種類だけど顔がやっぱり野性味ありました。