ちろる

危険な関係のちろるのレビュー・感想・評価

危険な関係(1988年製作の映画)
3.7
そもそも、メロドラマたっぷりのこの原作が大好きなのと、ロジェ・ヴァディム監督のフランス版のあの、ジェラール・フィリップ&ジャンヌ・モローの美しすぎるコンビががあまりにも強烈に残っているので、アメリカ版はどんなものかとドキドキワクワク・・・

そして、蓋を開けてみるとグレン・クローズのえぐいほどの悪女っぷりと、ジョン・マルコビッチが全然プレイボーイに見えないミスキャストっぷりが逆に新鮮で期待しているのとは違ったカタチで楽しむことができた上に、若き日のキアヌ・リーブス、ユマ・サーマンやミシェル・ファイファーがなんとも可憐で美しい。

アメリカ版にしてるのかと思いきや、英語を話しながら設定はあくまでも背景は、18世紀後半の爛熟期のフランス貴族社会。

フランス貴族社会の没落?を昼ドラみたいなドロドロ恋愛で描き、上品の仮面を被ったえげつない下品なゲームが幕を開ける。

当時のタイトルバックには、
「毒の刺激をふりまいて 限りなく危険な'89 悪女の秋」
だそうで、まさしくこのころ「危険な情事」で世の男性を震え上がらせたグレン・クローズの暴れっぷりを指しているのでしょう。

見栄と虚栄が蔓延るこの時代の社交界。
本当の気持ちがどうかなんてそっちのけで、他人にどう見られて、自らの価値がどう変わっていくのかの方がよっぽど大事なんでしょう。
愚かだけど、その愚かさのぶつかり合いを楽しむ事ができるのもこの作品。
スカッととはいかないものの、やり過ぎた侯爵夫人の末路は自業自得という感じで、ザマァでした。
のちにフランス革命がやってくるこの時代、暇を持て余して遊べるのもどちらにしてもあとわずかだったのかもしれません。
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