プライ

クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁のプライのレビュー・感想・評価

2.0
ディストピアと化した未来の世界で、未来の自分自身を救出する冒険譚。

従来のイメージや今作の世界設定に沿った野原一家とかすかべ防衛隊の未来像には納得と哀愁を感じる。未来のひろしからは親心溢れる格言、未来のネネちゃんからは大人になる残酷さを伝達するアドバイスが飛び出す。個人的に、未来のひまわりとぼーちゃんはストーリーをなんとか進めるための都合の良い存在にしかなってないと思う。

映画タイトルにもある肝心の花嫁ことタミコが凄くテキトーなキャラ。未来からやってきた理由や5歳児のしんちゃんを未来へ連れて行く理由を説明せずにイライラ。その後、世界を案内してしたり誰かから守られたりぐらいしかせず、努力の欠片すら見えない。故に愛着が全く沸かない。

ストーリー展開が悪い意味で読めない。凄くテキトー。なんか起きても、なんかやれば、なんかなんとかなる展開が多くを占める。

ストーリーに問題ないが、しんちゃんの大本命であるななこお姉さんがどうなったかは気になる。歳の差で折り合い着いた?

一部のシーンで独身者と同性愛者をバカにしたネタがある。結婚至上主義の減衰やLGBTの肯定が進む昨今の時流ではネタとして古い。むしろ、差別であり、現代では頂けない。そもそも、クレしんは昔から性自認の自由を肯定する歴史を繋いできた。映画2作目から、体は男で心は女であるキャラを変質者および弱者として描かなかった。今更ネタにしてはアカンやろ。また、クレしんはバカをしたり誰かをイジったりする事はあるが、誰かをバカにして攻撃する事は行なってないはず。だが、今作は独身女性を見下す発言が目立つ。臼井先生が生きていれば、もしくは過去の監督だったら、こんな事はなかった。

総括すると、既存キャラの未来像はほぼ完璧な調理を施したが、テキトーになんとなってるストーリーが目立ち、肝心の花嫁もテキトーなキャラであり、なんかテキトーになってしまった作品である。加えて、臼井先生や過去のクレしん映画が繋いできた性自認の自由を無下に扱ったり、他人を見下すことをネタにした問題作。ワースト筆頭。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐
星の総数    :計8個
プライ

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