『アリスの恋』や『タクシー・ドライバー』で評判になる前の、
マーティン・スコセッシ監督作品。
と、いっても、
1973年の作品ながら日本公開は1980年になってから。
同監督と、助演のロバート・デ・ニーロが大いに株を上げたためだと思われます。
ニューヨークのリトル・イタリー地区。
暗黒街のボスを叔父に持つハーヴェイ・カルテル。
彼は、信仰心も厚く、叔父が借金のかたに取り上げた店を、
自分の理想の店にする夢を持っている。
彼は、テレサという彼女と付き合っていて、
テレサの従弟がロバート・デ・ニーロ。
デ・ニーロには計画性というものが全くなく、友人から金を借りまくっては返さずに人に酒をおごってご機嫌になったりしている。
そんなデ・ニーロの借金を、いつもカイテルは肩代わりしてやっていたのだが、高利貸に手を出したデ・ニーロをかばいきれなくなり、
二人は追い詰められていく・・・
というお話で、
デ・ニーロがいらいらするくらいなダメな男。
しかし、その無軌道な行動の中に、ふと狂気を垣間見せる。
この部分を膨らませたのが、
『タクシー・ドライバー』になったんじゃないかなと想像してしまう。
ニューヨークの街の描き方もさすがで、
特に夜景の切り取り方がうまい。
猥雑な中にある美しさのようなものがある。
音楽の使い方もいい!
物語は、アメリカン・ニューシネマ的な展開を見せて終わるのですが、
スコセッシお得意の陰性青春群像劇の芽は、このころからあったんだなあと、今になって思います。
青春人情ニューシネマといったところでしょうか。