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風と女と旅鴉のbrianのレビュー・感想・評価

風と女と旅鴉(1958年製作の映画)
3.9
渡世人銀次(中村錦之助、萬屋錦之介)は仙太郎(三國連太郎)を「あにい、あにい」と親しく呼び、仙太郎は口数が少ないけれど自分の息子のように優しく接する間柄。
しかし、大量の小判を手にしたことによって話が別方向へと進む。

白塗りのスターが活躍するのが主流だった時代に主要キャストがノーメイクで出演した。女優もスッピンだが可愛くて美しい。加藤泰監督独特のローアングルと相まって新しい時代劇を感じさせる。「東映時代劇のヌーヴェルヴァーグ」の幕開けだ。

錦ちゃんの激しい立ち回り、気っ風のいい台詞回し、貧しい頃を淡々と語ったり、人間銀次をリアルに演じていた。小柄(身長162cm)だけどローアングルで撮影しているから大きく見えて存在感がある。元々は歌舞伎役者なのでクローズアップになった時の表情がわかりやすい。

現代劇のイメージが色濃い三國連太郎を時代劇としては今回初めて観たことになる。
飄々としながらも台詞の間の取り方が絶妙である。長い時間の正座から立ち上がり前転してバランスを崩しながら歩き出すコントのような演技が印象的でおもしろい。
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