三四郎

絹代の初戀の三四郎のレビュー・感想・評価

絹代の初戀(1940年製作の映画)
4.0
平凡な何気ない日常生活、そこに若く綺麗なロマンスと少しのペーソス。なんとも落ち着く作品だ。

周りが自分に対してお世辞ばかりを言う父親の会社で、ある若い女性社員だけ、赤ん坊のような澄んだ瞳で、真っ直ぐ思ったことを言ってくる、なかなかどうして心に突き刺さるような真実を言ってくる。そういう女性社員を好きになる坊々佐分利信は遊び人ではあるが、いや、随分遊んだからこそ、見る目のある男になったのだろう。

クビになって悄気て帰って来た父親に「良かった!嬉しいわ!」と喜びの言葉を言い、これまで育ててくれた父親への感謝の気持ちを真心から述べる長女(田中絹代)…。あたたかい心になる。田中絹代の言葉と思いやりが自分の母親を思い出させる。
「いいじゃないの、わかる人にわかりゃ」仕事なんてそんなもんんだよなぁ。

大船調映画は食事シーンの撮り方が上手い。美味しそうに食べるのがまたいい!なんでもない普通のお弁当まで美味しそうに見えて、食欲をそそられる。
お煎餅を焼くシーンも自然だ。焼き立てのお煎餅はさぞかし美味だろう。

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人気女優に化粧品名を言わせることで、人はやはり同じものが買いたくなるものだろう。映像の宣伝効果は偉大だ。
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