TakayukiMonji

万事快調のTakayukiMonjiのレビュー・感想・評価

万事快調(1972年製作の映画)
3.8
ゴダールマラソン。72年作、「ウィークエンド」以降、長らく商業映画から遠ざかっていたゴダールが久々に商業映画(一般的な商業映画とは程遠いが。)に帰還した作品

“万事快調”(=TOUT VA BIEN)と題されているが、全くもって快調ではない映画。
取材先の精肉工場で無期限ストに巻き込まれて、そこの社長と一緒に監禁されてしまう、映画監督とアメリカ人記者。1968年以降の5月革命以降の社会問題を問いただす内容。
経営者(搾取する側)、労働総同盟側、新左翼などの主張が展開されていく、労働問題、生産と消費、恋人との生活、CM仕事と映画制作、マスメディアについて、などが溢れ出る風刺劇。

特に、カメラワークやセットにこだわりを感じた。工場の建物を横から断面図のように映した巨大セットや、「ウィークエンド」の車の長回しや「ブリティッシュサウンズ」の工場のラインの長回しを彷彿とさせる、スーパーのレジと掠奪を長回しで撮ったシーンが印象的。それ以外にも、前作の「ウラジミールとローザ」に近い、イヴ・モンタンとジェーン・フォンダを重ねて撮った会話シーンなど、実験的なカメラワークが続く。
主役のフォンダがフォンダであった理由があるのかというキャスティング。脇役も主役も同列に、社会の現実が交差していた。

久々に映画らしいゴダール。
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