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鬼に訊け 宮大工 西岡常一の遺言のRIOのレビュー・感想・評価

3.8
南に育った木は南に立たせ
北に育った木は北に立たせる

平安まではそうしてきたものを室町から無地が好まれ始めて木の持つ目によって立たせる方角を変えていったことが建築が長くもたなくなった理由としてある
古い瓦は200年もつけど明治時代のものは50年
和釘も鍛造されたものでないとすぐにダメになってしまうそうです
法隆寺 宮大工の西岡常一の話が面白い
深く考える事実でした

生駒農学校で土にどういう世界があり土の命を知ることは後に木の心を知る道標へと繋がってました

木は神様です
と言った西岡棟梁の境地に行きたい

棟梁の道具箱が面白かった
昔は差し金一丁あれば全てができた
室町時代以前に使われていた仕上げのための槍がんな
飛鳥のボロボロになった古代釘を鋳直し刀鍛冶に鍛えたものによってしか復元できなかった木と鋼の関係が面白い

西岡棟梁は飛鳥・白鳳に影響を受けていたように思った

法隆寺では自分の信念を曲げられないと宮大工を降りたその後に 薬師寺金堂再建の建築にコンクリを使うことを受け入れた…
その心情は到底計り知れない
変わるところは変わり変えられないものは変わらない その芯は私なんかには分からない
捻りながらも伸びていく木の生き方から学ばれたように時代の風雪に耐えながら形象を変えていった姿と重なりました

大量に作られる時代に逆行していく西岡理論は木を生かすことに尽きていました

息を止めて㎜単位で削られる木を見てると気持ちがすーっとした
特に槍がんなで仕上げられるのは優しく柔らかい木肌が浮き出して美しい

西岡棟梁の心眼を感じる時間
とても慎み深い人でした

石橋蓮司のナレーションも効いてる
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