【フィクションに宿る真実】
最近久しぶりに見てみました。
昔の音楽映画って、おおらかでいいなあ。
シューベルトがモテまくっている。質屋にギターを質入れに行くとそこの娘に好意を寄せられ、相場より高いお金を貸してくれるし。(実際のシューベルトは小男だしお金もないし、モテなかったらしい。)
貴族令嬢が、一介の音楽教師に過ぎないシューベルトに恋して結婚まで考えてしまうし。
その貴族令嬢がなぜか庶民の飲み屋に夜分出現して、歌と踊りを披露してくれるし。
また、なぜかシューベルトは質屋の娘に教わるまで大詩人ゲーテの名を知らないし。(シューベルトの作品番号1の曲は、ゲーテの詩による「魔王」。)
交響曲「未完成」が未完成に終わったのは、こんなにドラマチックな理由からだったのか、なるほどなあ・・・と、知らない人は感心してしまうだろうし。(最近の研究では、要するにシューベルトはずぼらだったから途中で放り出した、ということらしい。)
音楽映画って、こういう風に作るべきなんだよなあ。ほんの少しの「事実」と壮大なウソ、というかフィクション。そのフィクションの中に人間の真実が見えることだってあるんだから。