Omizu

魅せられて四月のOmizuのレビュー・感想・評価

魅せられて四月(1992年製作の映画)
3.7
【第65回アカデミー賞 助演女優賞他全3部門ノミネート】
『フォー・ウェディング』マイク・ニューウェル監督作品。ゴールデングローブ賞ではコメディ部門主演女優賞(ミランダ・リチャードソン)と助演女優賞(ジョーン・プロウライト)の2部門を受賞、アカデミー賞では助演女優賞、脚色賞、衣装デザイン賞にノミネートされた。

上流階級の女性たち4人がそれぞれの想いを抱えながらイタリアの古城で休暇を過ごす。自分の幸せとは何かをじっくりと見つめていく。

まずは主演のミランダ・リチャードソンを差し置いてオスカーにノミネートされたジョーン・プロウライトの名演を称えたい。昔有名人に会ったという自慢ばかりを繰り返す老婦人を演じた彼女、トニー賞受賞経験のあるベテランで、なんとローレンス・オリヴィエの妻!後で調べて分かったがなるほど。

役としても美味しいところがあるし、威厳を保った老婦人役がとても似合う。

内面のナレーションはもう少し控えめにして欲しかったというのはあるが、静かに女性たちの心を捉えた良作だと思う。

都会で暮らす中産階級の妻として暮らす二人、貴族階級で常に注目の的である女性、嫌みな老婦人の4人がそれぞれ関わり合いながら自分の生き方と愛を問う。非常に繊細で丁寧な映画。

自分は本当に夫を愛しているのか、過去ではなく現在に向き合うべきか、自分を本当に愛してくれる人は誰か。そんな問いが彼女たちの心をかき乱す。

イタリアの古城というロケーションも美しく、1920年代の衣装も素晴らしい。

じっくり自分と向き合いたいときに観るべき映画。万人に受けるタイプではないが、非常に繊細で丁寧につくられた良作。
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