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刺青一代のHKのレビュー・感想・評価

刺青一代(1965年製作の映画)
3.5
鈴木清順監督の1965年の青春任侠映画。
清順美学が炸裂と書いてあったからセレクトしましたが、あれ?
若い高橋英樹はカッコイイし、出演陣は見ていて退屈しないんですが、お話はどうということもなく、なんだかフツ~の作品・・・

と、思いながら観ていたら終盤になってキマシタ!
いきなり石畳の端からジワジワと真っ赤な照明が。
殴り込みのシーンになると稲妻と豪雨!
片手にドス片手に拳銃、英樹が青いフスマや黄色いフスマを開け放ちながら奥へ奥へ、敵地はもはや異空間!
延々長回しの俯瞰の殺陣に、真下からガラス越しの褌丸見えカットとやりたい放題!

このクライマックスの独特な様式美と映像感覚はTVの後期必殺シリーズなんかにも影響を与えているかもしれません。
ちなみに本作は『渡世一代』に続くシリーズ第2弾とか(第3弾らしきものは見当たらないので2本限りか)。
高橋英樹、鈴木清順のコンビ作を観るのは『けんかえれじい』以来ですが、本作の方が1年早いようです。

番傘をクルクル回す姿もイケテル高橋英樹は21歳とは思えない貫録。やはり当時のスターは違います。
若々しい和泉雅子(当時18歳)、若いのに既に妖艶さのある松尾嘉代(当時22歳)。
小松方正や高品格は相変わらずのアクの強さ。

このくらいのバランスの作品だと、後に日活社長に「わけがわからん!」とクビにされることもなかったんでしょうけど、このバランスじゃやっぱりちょっと物足りないかな。
オッサンが履いてる真っ赤な靴が眩しい!
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