Chris

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師のChrisのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ホラーなどの暗めの作品は苦手なのだが、 この映画は楽しめた。
ティム•バートンが表現する時代設定だけじゃない、どこか現実から離れた独特な世界観が良かった。この世界観を演出する要素として俳優陣の活躍が最も大きいと思う。
特にスウィーニー、ラヴエット夫人を演じたジョニー•デップ、ヘレナ•ボナム=カーターがハマり役すぎた。彼らの仕草や表情、ビジュアルが世界観にマッチしていて引き込まれた。ミュージカルシーンも彼らがダントツに上手かった印象だ。
またダーピン判事役のアラン•リックマンもハリーポッターのスネイプのイメージがあったので妬み役ですごくあっていた。
自分は元となったミュージカルを知らないが、とてもいいキャスティングだとこの映画を観る限りでは思った。
元がミュージカルということもありいい意味でも悪い意味でもミュージカルらしい映画だった。普通の会話シーンも歌っていることが多く個人的にはさほど違和感を感じずに観ることができた。これも俳優陣の演技力、そしてカメラワークや暗めのフィルターによるダークな雰囲気と合っていたからだろう。
しかし登場人物たちの心情を歌にしすぎて実際に口に出しているのかどうか分からなくなった箇所がいくつかある。思いを吐露しているが、一方の人物はそれを聴こえないような素振りをするため心の内にある想いとセリフとの違いを明確にして欲しいと感じた。
またこの映画で主となる曲が何だったのか、はたまたあったのか、観終わって印象に残っていないことに気づいた。自分がそうだっただけかもしれないが、印象に残るわかりやすいメロディの曲があればよかったと思う。
内容はそこまで捻りがなくこういう感じか程度に観ていたが、ラストの救われない結末は復讐心に狂った男の最期として妥当な後味の悪くないバッドエンドだったと思う。娘や妻を認識できないほど負の感情に操られた哀れな様子が感じが良かった。ミュージカル重視でも内容重視としてもそこそこ楽しめる作品だと思った。
Chris

Chris