小林

斬るの小林のレビュー・感想・評価

斬る(1968年製作の映画)
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武士になりたい百姓と武士を辞めた無宿者とのコンビがとかく斬る(と言っても前者は突く訳だが)、喜劇色の強い時代劇。『用心棒』にその続編『椿三十郎』を加算したらさらに面白くなるのではないか、という発想で作られているのは明白である。冒頭の宿場のあぜ道を歩く痩せこけたニワトリは『用心棒』の人間の腕を咥えた野良犬を思い出させる。藩内のいざこざは見るからに『椿三十郎』だ。それをユーモアたっぷりにパロディ化している。だが、たんなるパロディに終始する事なく、武士道精神(要は滅私奉公だと思えばよい)への批判につなげる手つきはさすがの岡本喜八だと思う。娯楽の中に毒を仕込む。今ではすっかり見られなくなってしまった。
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