ジェンダーの観点から最近では禁句になりつつある「男らしさ」。
この意味をこの作品は教えてくれる。
決してマッチョの強い肉体だけが男らしさの象徴ではないし、
かたや、知識をひけらかしているだけでもいけない。
ルーカスは何事にも挑戦する。
その先にあるかもしれない失敗を考えてはいるが恐れはしない。
その姿こそ「男らしさ」と言えるのではないかと思わされた。
虚弱体質気味の男の子が、
屈強な男たちの中に飛び込んでフットボールのプレイをするなんて、
現実的な眼で見ればおとぎ話なのだが、
この作品ではそれを不自然に感じさせないんだ。
ルーカスはいじめにあう。
正面から立ち向かっていくことはしない。
実に彼らしいやり方で対抗する。
それが失敗となっていじめっ子らから返り討ちに会っても、
彼は挑戦し続ける。
いじめといっても、
米国映画で描かれるいじめは陽性だ。
日本のイジメのように陰性でないから、
単純に日本の子供と比べる訳にはいきませんが。
セミの孵化の瞬間をスローモーションで見せて、
雨の線路をルーカスが歩いていくオープニングシーンから、
この監督の映像感覚のすばらしさに拍手する。
ルーカスを演じのはコリー・ハイム。
繊細なのに大人びている不思議な存在の主人公をうまく演じている。
憧れの人マギーを演じるケリー・グリーンも可愛くて、とても魅力的です。
チャーリー・シーンも出ています。
ウィノナ・ライダーはこの作品がデビュー作。
秘かにルーカスを想う少女の役です。
クライマックスからラストにかけては、
アメリカ映画の常套手段なんですけど、
このクサイ演出がやっぱり大好きだ。
涙腺崩壊します。
とても爽やかな後味が残る佳品です。
おススメします!
デヴィッド・セルツァー監督作品