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ベトナムから遠く離れてのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

ベトナムから遠く離れて(1967年製作の映画)
4.5
ベトナム反戦運動がアメリカ各地で起きるようになった60年代後半、フランスの映画監督たちが立ち上がり製作したオムニバスのドキュメンタリー。
クリス・マルケルが指揮をとり、ゴダール、アラン・レネ、ウィリアム・クライン、ヨリス・イヴェンス、アニエス・ヴァルダ、クロード・ルルーシュが参加している。ベトナム反戦運動をまとめた貴重なドキュメンタリー。

(北)ベトナム側に立ったドキュメンタリーであるが、ベトナムに入国できなかった(拒否された)ゴダールの言葉から、『ベトナムから遠く離れて』と題している。ゴダールは自分の立場を明らかにしていなかったことで拒否されたと考え、その後は他の作品にもベトナム反戦の思いを入れることにしたと語る。

現地の映像に加え、アメリカでの反戦デモとそれに反論する戦争支持者たちとの路上での議論が白熱していて、戦争反対する理由と支持する理由はいつ、どの戦争においても同じだと思った。興味深かったのは、反戦デモ側は理性的で理路整然としているのに、戦争支持側は感情的に怒りをぶつけていて居丈高なところ。とにかく反対派を力で威圧したいのが全面に表れていた。

ヨーロッパでは反戦運動すると連行されていた。

カストロのインタビューも入っていた。

ベトナム市民が冷静に土豪を作るシーン。ベトコンは出ていなかったようだった。

ペンタゴンの前で焼身自殺して反対を世界に訴えたノーマン氏の妻の冷静な言葉。

冷静と狂気を対にしてはいなかったが、私にはそう感じとれた。

戦場のシーンはデザインされており、残酷な場面を直接見せることは少なかったが、「狂っている戦争」(戦争自体は狂っているんだけど)が伝わってくる。とくにアメリカの議会での演説や報告など、戦意を高めようとする責任者(不明)の語りが狂気にしか聞こえない。

再びタイトルについて、自分達が血を流していないのに製作することを謙虚に考えてのこと。それでも自分達で何かできることをとドキュメンタリー映画を製作している。

さて、日本はこの戦争にどういう立場をとったのか。べ平連の存在は、大人になってから知り、活動していた方とお酒の席(主宰者)でお会いしたことが何回かある。アメリカ軍の後方基地として存在する日本。ベトナム特需があったのだろうか。気になった。
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