ちろる

ポカホンタスのちろるのレビュー・感想・評価

ポカホンタス(1995年製作の映画)
3.8
野生的なポカホンタスだけど、身のこなしがなんとも色っぽくて美しい、ディズニーの中でも稀に見る神秘的なプリンセスだと思う。

風のように軽やかで、森の精霊の声を聴ける、人間と精霊の中間のようなポカホンタスの存在感は霧の深い神聖な自然に溶け込んでどのシーンもとても絵になる。

史実とは結構ずれているストーリーや、駆け足で語られる脚本など気になる点はいくつかあって、少々作りが雑なんでは?と感じる部分もあったけど、
西洋人の文明人が偉くて未開拓の住人は無知だと思い込む、白人のスノッブで野蛮な価値観を揶揄しつつ、壮大な自然と共鳴しながら生きる原住民たちの美しい生き様をポカホンタスが伝えてくれる言葉たちは今の時代受け取るべきメッセージがたくさんある。

戦い憎しみ合うことからは何も生まれない。
水面に落とされた滴の波紋のように、憎しみは広がるだけ。
人間から生まれる愛の波紋だけが、大地を癒す。
これはつい私たちが忘れてしまいがちな一番大事な事なんだよね。

物質主義の西洋人とスピリットの考え方の原住民の価値観の違いを決定的にしたラストの選択は他のプリンセスストーリーとは少し異なり大人向けだと思うけど、もっと余韻を残してくれさえしたらこの切なさは嫌いではない。

自然の美しい森や海の絵はほんとに美しくて、あのポカホンタスの住む景色たちをずっと眺めていたいと思いました。
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