健一

ホタルの健一のレビュー・感想・評価

ホタル(2001年製作の映画)
3.5
大号泣してしまった。
変な意味ではなくて こんなタイプの作品だとは思っていなかったので。

降旗康男監督、木村大作撮影、高倉健主演、
ゴールデントリオによる2001年度の作品。
2001年当時。新宿 有楽町 新橋など あちこちの金券ショップで本作の前売券が何故か300〜500円で販売されていた。
『こんなに安いということは 面白くないんだな?多分。』と思ってしまい 劇場には行かなかった。
あれから早いもので20年の歳月が流れて、今回BSで放送していたので録画して深夜に鑑賞。
健さんが 生きている間に観てあげればよかったと 後悔。

桜島を望む鹿児島の港町で静かに暮らすある夫婦。
漁師をしていた男は 妻が肝臓を患い人工透析が必要となったのを機に漁師を辞め 養殖の職に就く。
時代が『平成』に変わった日、男の昔の友人が青森の雪山で自決したことを知る。
二人は戦時中 同じ特攻隊の生き残りで 友人の死に男は愕然とする。

オープニング、劇中、そしてラストと木村大作が映し出す日本の四季、美しき風景、様々な情景を撮影してフィルムに焼き付けていて これらを観るだけでも甲斐がある。
さすが、一流のカメラマン。その仕事っぷりに脱帽です。

激怒の20世紀が終了し 21世紀が新たにスタートした2001年に公開された本作。
劇中では 昭和天皇が亡くなられ 昭和として最後となった あの日 から物語は始まる。
昭和を生きた人、平成を生きる人、昭和と共に終える人。
様々な事情を抱え懸命に生きている人々 そして死んでいった人々を重圧に描いている傑作!

夫婦を演じる高倉健さん、田中裕子さんをはじめ、夏八木勲 井川比佐志 奈良岡朋子 等。国宝級のキャスト達が大集合していてなんとも贅沢な作品。
なんでこんな凄い映画の前売券が300〜500円だったの?
そんな中 雪山で自決した男の孫が登場するのだが、この孫娘を演じている女の子が まぁ〜ヘタクソな演技で(笑)。
大御所だらけの中で演じたからさすがに緊張したのかな?

久々に見応えのあるしっかりとした日本映画を観た気分になりました。

このタイトルの意味も・・・
泣かせます!
健一

健一