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ラヴェンダーの咲く庭でのodyssのレビュー・感想・評価

ラヴェンダーの咲く庭で(2004年製作の映画)
3.2
【つかの間の小春日和】

私の住んでいる田舎の映画館には来なかった作品なので、BSでやってくれたのがありがたかった。

原作は未読ですが、原作の40代姉妹をかなり高齢に設定し直したのは成功でしょう。40代のおばさんと20代の青年なら本当に関係しちゃっても不思議はないですからね。高齢に改めたことで、純粋に精神的なものが表現可能になったのだと思います。

もっとも、ここでの姉妹は、若者に恋をしているのと同時に、息子を育てているという印象もありました。いや、その二つのことはしばしば一緒だったりしますから、無理に区別する必要もないんですけど。

降りて外部から操作しないとエンジンがかからない自動車なんかも、面白い。この映画の時代設定は1936年だそうですから、ということは昭和11年で、ああいうクルマは当時としてもかなり古かったのではないでしょうか(私はクルマにうといので、間違っていたらごめんなさい)。田舎の牧歌的な雰囲気が伝わってくるところです。

でも1936年というと、ヨーロッパは微妙な時代ですね。ヒトラーがドイツで政権をとったのが1933年、ナチスドイツがポーランドに侵攻して第二次世界大戦が始まるのが1939年です。青年はドイツ語圏に近いところから英国に流れ着いたという設定。時代的には、つかの間の小春日和だったのではないでしょうか。
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